建築工事においては、建物を設計図通りに建てることはとても重要ですが、それ以外にも大切なものがたくさんあります。例えば、その地域や住んでいる人に対して迷惑をかけないこと、また、現場で働く人が事故や怪我などなく安全に作業できること、建物の品質を確保するために材料等の保管を適切に行なうことなどです。
工事監理と工事管理
工事監理と工事管理、読み方は同じですが、漢字が違います。もちろん、意味も違ってきます。工事監理とは、工事監理者が、図面通りに工事が行われているかを確認する事を言います。工事管理とは、施工者が計画通りに、また、安全に工事を行なう事です。
施工者の提出する施工計画を検討し、助言する。
詳細図などを作成し、施工者に指示をする。
工事の完了検査終了後、工事監理報告書を建築主に提出する。
工事の完成を確認し、引き渡しに立ち会う。
現場では、監理と管理を区別するために、監理を「さらかん」、管理を「くだかん」と言うことがあります。
官公庁への届け出
施工にあたっては、所定の官公庁への手続きが必要です。工事の開始や終了の届け、また、道路を使用する場合などの許可も、決められた人が、決められたところへ提出します。
申請・届出の名称 | 提出先 | 提出する人 |
確認申請 | 建築主事
(又は指定確認検査機関) |
建築主 |
工事完了届 | ||
建築工事届 | 都道府県知事 | |
建築物除去届 | 施工者 | |
危険物貯蔵所設置許可 | 市町村長又は都道府県知事 | 設置者 |
特定建設作業実施届出書 | 市町村長 | 施工者 |
道路使用許可 | 警察署長 | |
道路占用許可 | 道路管理者 | |
安全管理者選任報告 | 労働基準監督署長 | 事業者 |
クレーン設置届 |
敷地調査
建築計画の際には、電気、ガス、水道などが通っているかなどライフラインの状況や道路条件など、事前に調査するものがたくさんありますが、いざ工事を行なう前にもいろいろと調べることがあります。
敷地測量:敷地の形状、面積、前面道路の幅(敷地へ至る道路も)高低差など
地上や地中の調査:電線、樹木、その他工作物など
その他、道路、隣接建物、周辺環境の調査
材料の管理
建築工事に用いる各種材料は、施工者の責任で保管する必要があります。保管の方法が不適切だと、品質に悪影響が生じます。
ガラス:縦置きとし、寝かさない。
ルーフィング:くせが付かないように、縦置きで保管する。
型枠用合板:直射日光を避け、シートで覆う。
塗料:周囲の建物から1.5m以上離れた、平家建ての建物に保管。
瓦:破損に注意して、小端立てにする。
鉄筋:土などが付かないよう台木の上に置く。種類別に保管。
作業主任者
危険な作業を行なう場合、その資格を持った人が作業主任者として責任を持ち、十分な安全管理の元で作業を行なうようにします。
高さが5m以上の足場の組立て・解体
高さが5m以上の鉄骨の組立て
アスベストの除去
金属の溶接 など
産業廃棄物
工事によって生じた紙くずやガラスくず、コンクリートや木材、鉄などの破片、また汚泥などは、産業廃棄物として扱われます。一般の生活ごみとして出す事はできません。また、その中でも、爆発性、毒性など人体又は生活環境に被害を生じるおそれのあるものを特別産業廃棄物といい、処理方法が厳しく定められています。
アスベストやポリ塩化ビフェニルなどは、特別産業廃棄物になります。