工程管理
ネットワーク工程表
施工者と建築主(発注者)の間に結ばれる工事契約には、〇年〇月○日までに工事を完成し、引き渡しを行う。ということが記載されています。施工者は、その日までに工事を完了させなければなりません。そのためには、工程(スケジュール)通りに工事を進めていくことが必要です。
かんな先生
建築の世界では、誰が見てもわかるように、共通したルールでつくられたスケジュール表(工程表と言います)があります。
ゆこさん
全ての工事関係者がその工程表を見て工事を進めていくわけですね。
工程表にはいくつか種類があるのですが、代表的なものに「ネットワーク工程表」があります。
ここでは、わかりやすいように、友達2人(まるこ/ゆこ)がサンドイッチを作ることにして説明していきます。行なう作業は次の通りです。
A どんなサンドイッチを作るか2人で考える 4分
B 野菜を洗って切る(まるこ) 3分
C パンに野菜を挟んでお皿に盛り付ける(まるこ) 6分
D パンの耳を切ってマヨネーズを塗る(ゆこ) 5分
E コーヒーを淹れる(ゆこ) 7分
これらの作業をネットワーク工程表にすると次のようになります。
ここで問題です!
サンドイッチとコーヒーの全てが出来上がるまでに何分必要でしょうか?
そうですね、16分です。
その経路は、A→D→E となりますよね。
では、ゆこさんがコーヒーを淹れるのを5分で行なったとしたら、完成までの時間はどうなるでしょうか?
2分縮まるので14分?
いいえ違いますよね。今度は一番長い経路がA→D→C となり、全体では15分かかることになります。
このような表をネットワーク工程表と言います。
そして、A→D→E や A→D→C などの経路をパスと言い、そのパスの中で一番長いパスをクリティカルパスと言います(上の表ではA→D→E)。工事を予定通りに進めるには、このクリティカルパスの管理が最も重要です。
例えば、クリティカルパスに関係のないBの作業は、1、2分余計にかかっても、完成する時間は同じですが、DやEの作業が延びると、延びた分だけ完成は遅くなってしまいます。
それから、DからCに移るところの線が点線になっています。これをダミーと言いますが、Dが終わらないとCの作業を行なうことができません。このように作業の前後関係を表すのがダミーです。
ではここでもう一つ問題です。Bの作業には何分の余裕がありますでしょうか?
「2分!」
そうですね、Bの作業は5分かかったとしても、Dの作業が5分かかりますので、Cの作業を開始できる時間は同じです。
でも、ちょっと見方を変えてみて下さい。ゆこさんはDの作業の次に7分かかるEの作業があります。まるこさんはCの作業を6分で行うことができますので、実はBの作業は6分かかっても、完成までの時間は16分と変わらないのです。
つまり、工程表全体で見てみると、Bの作業は3分の余裕があることになります。
この場合、次の作業であるCの開始時間に影響を与えない余裕時間(2分)をフリーフロートといい、全体の工期に影響を与えない余裕時間(3分)をトータルフロートと言います。
ネットワーク工程表においては、クリティカルパスの管理が最も重要
バーチャート工程表
今度はバーチャート工程表を見てみましょう。
バーチャート工程表は、次のような形を工程表です。
バーチャート工程表は、このように、縦軸に行なう作業、横軸に時間(通常の工事では月日)を示し、各作業の所要時間を横線で表しています。
バーチャート工程表のメリット
作成が容易。
各工事の開始時間と終了時間がわかりやすい。
バーチャート工程表のデメリット
各工事の相互関係がわからない。
作業の余裕時間が把握しにくい。
工程計画における留意点
工程計画における留意点を見てみましょう。
施工計画はここに留意!
土工事、地業工事は、天候に左右されたり、地下水など予期しない出来事が発生したりする可能性があるので、工程には余裕をみておく。
仕上工事は、天候には左右されないが、作業の種類が多く、他の作業に影響される可能性があるので、十分な工期をみておく。
材料の準備期間や搬入時期を考慮する。
施工図の作成期間や承諾の時期を考慮する。
天候を考慮する。
作業量はなるべく均一にする。
ゆこさん
雨が降ると、作業ができなくなることがありますよね。
施工管理
施工計画書
施工計画書は、施工者が作成するもので、工事の着手に先立ち、工事監理者に提出します。