かんな先生
2つの部材があります。断面積は同じです。上から荷重をかけた場合、どちらの方が強いか、もしくは、たわみにくいか、感覚的にわかりますでしょうか。

ゆこさん
左側の方が強そうです。でも、どの程度強いのか、それはわからないですね。
断面一次モーメント
断面一次モーメントとは、厳密に言うと少し違うのですが、ここでは、
図形の面積×ある位置からその図形の図心までの距離 と考えてください。
例えば次のようになります。
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X軸を基準とした断面一次モーメントは、bh × y となります。
長さの単位をcmとした場合、cmを3つ掛けますので、断面一次モーメントの単位は、「㎤」です。 |
ゆこさん
部材が長方形の場合は、図心はちょうど真ん中ですね。
かんな先生
そうですね、長方形の場合は真ん中です。では、次のような断面の図心はどの位置にあるでしょうか。

ゆこさん
長方形ではないので、ちょっとわからないです。
かんな先生
このような場合に、断面一次モーメントの計算式を利用しますよ。
例えば、次のようにこの図形を2つに分けてみてください。
例えば、次のようにこの図形を2つに分けてみてください。

ゆこさん
それぞれの長方形に対して断面一次モーメントを求めるのかしら。
かんな先生
そうですね。それぞれ求めてみてください。
左の長方形 S1×y1
右の長方形 S2×y2
(S1とS2はそれぞれの面積です)
この2つの断面一次モーメントを合わせると、全体の断面一次モーメントと等しくなります。
つまり、S1×y1 + S2×y2 = S3×y3
この式が成り立ちます。

ゆこさん
そっか、2つ足し合わせた断面一次モーメント=全体の断面一次モーメントになるので、2つ足し合わせた断面一次モーメント÷全体の面積 をすれば、y3が求まる。というわけですね。
かんな先生
わかりましたね。この問題は一度コツをつかめば簡単なので、是非できるようになってください。
断面二次モーメント
断面二次モーメントとは、
断面二次モーメントも難しく言うとちゃんとした定義があるのですが、ここではその部材の変形のしにくさ(曲げにくさ)、と考えてください。計算式は次の通りです。

二級建築士の問題を解く場合は、図心が基準位置になることが多いので、2つ目の式を覚えておいてください。
断面係数
断面係数、これも厳密に言うと難しいのですが、ここでは部材の曲げ強さを表すと考えてください。値が大きいほど、曲げ強さは大きくなります。
求め方は次の通りです。

この断面係数も、二級建築士の問題を解く場合は、図心が基準位置になる場合が多いです。
かんな先生
断面係数は応力度を求める時に必要になります。応力度の問題は二級建築士の試験ではほぼ毎年出題されますので、この断面係数の公式は覚えておいてください。

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