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「静定ばりの応力」を見てください。曲げモーメントとせん断力を求めるには、まず反力の求め方ができるようになっておく必要があります。
ゆこさん
梁などの部材には、主にそれを曲げようとする力とずらそうとする力が働くんですね。
かんな先生
そうですね、そして当然ですが、それらの力に対して部材は抵抗できる必要があります。そのために、その部材にどのような力がどの程度の大きさで働いているか、把握する必要があるのです。
曲げモーメントの求め方
曲げモーメントとは、その部材を曲げようとする力、もしくは、湾曲させようとする力と考えてください。部材にはいくつかの力がさまざまな場所で作用していますので、場所によって曲げモーメントの値は違ってきます。
構造力学の問題では指定された位置での曲げモーメントを求める必要があります。
では実際に、どの程度の曲げモーメントが作用しているのか、曲げモーメントを求める方法を具体的に見ていきましょう。
下図のように上から1kNと12kN、下からの反力が7.5kNと5.5kNの力が作用している梁の青い丸位置における曲げモーメントを求めてみます。
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青い丸の左右にかかっている荷重について、それぞれモーメントを求めて合計します。
モーメントは、力×距離でしたね。左側
-1kN×3m+7.5kN×1m
=4.5kN・m
右側
12kN×1m-5.5kN×3m
=-4.5kN・m
符号が違って同じ値になりました。この4.5kN・mが、青丸位置における曲げモーメント、つまり、部材を曲げようとする力です。 |
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左右両方から4.5kN・mの曲げようとする力が働いています。
力学の問題を解く場合は、左側の符号で解答するようにしてください。この場合は、4.5kN・mが答えです。 |
かんな先生
ちなみにですが、左右で同じ値になるのは偶然ではないんですよ。どの位置で曲げモーメントを求めても、左右は同じ値になります。よかったら計算してみてください。
せん断力の求め方
せん断力とは、部材をずらそうとする力だと考えてください。はさみで紙を切る時は、せん断力が働いて紙が切れています。
先ほどの梁を用いて、今度は青い丸位置におけるせん断力を求めてみます。
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先ほどは左右それぞれのモーメントを求めて合計しましたが、今度はモーメントではなく、単に荷重だけを合計してください。
(上向きを+とします。)左側
-1kN+7.5kN=6.5kN
右側
-12kN+5.5kN=-6.5kN
今回も符号が違って同じ値となりました。この6.5kNが、青丸位置におけるせん断力です。 |
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左右それぞれ6.5kNの力で部材の青丸部分をずらそうとしています。
曲げモーメントと同じく、左側の符号で解答するようにしてください。6.5kNが答えです。 |
ゆこさん
せん断力も曲げモーメントと同じで、左右は同じ値になるんですね。問題を解く場合は左の符号が答えになりますので、覚えておいてください。
曲げモーメントとせん断力の問題を解いてみる
1996年二級建築士学科試験 構造No.4 類似問題
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二級建築士学科試験 構造力学 静定ばりの応力の問題 まとめ
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