防火区画とは、耐火構造など火に強い材料で作られた床や壁、もしくは、防火設備などで防火上の区画を行なう事を言います。不特定多数の人が利用する公共施設や大きな店舗など、特定の建築物において規定が定められています。どこで区画されているの?と思われる建物もあると思いますが、通常時は利用者にとって利用しやすいようオープンになっていますが、火災時には、防火戸やシャッターなどが自動で閉まり、火が燃え広がるのを防ぐようになっています。
防火区画(建築基準法施行令第112条)
防火区画は、区画の考え方や方法によって大きくは次の4つに分けられます。
高層区画【令112条5項~7項】
竪穴区画【令112条9項】
異種用途区画【令112条12項~13項】
面積区画
施設や百貨店など、広い空間(面積)において火災の拡大を防ぐために区画を行なうことを一般に、面積区画と言います。建物の構造によって、1,500㎡や1,000㎡、500㎡など決められた面積以内となるように区画を行ないます。
ただし、映画館や体育館、工場など用途上やむを得ない場合は、防火区画はしなくてよいとされています。
スプリンクラー設備など、自動式消火設備を設けた場合は、区画する面積が緩和され、1,500㎡や1,000㎡、500㎡はそれぞれ倍の数値となります。
高層区画
建物の11階 以上の部分は、1つの区画の面積が100㎡以内となるように防火区画を行なう必要があります。これを高層区画(もしくは高層階区画)と言います。
内装仕上げと下地材料を準不燃材料にすると、100㎡は200㎡に緩和されます。また、内装仕上げと下地材料を不燃材料にすると、更に広く、500㎡以内となります。
竪穴区画
吹抜けや階段、エレベーターなど、建物の内部が上下につながった部分、これを竪穴と言いますが、火災時は、この竪穴を通じて火や煙が上階に広がっていく可能性がありますので、竪穴部分とその他の部分を区画する必要があります。これを竪穴区画と言います。
階数が3以下で、床面積が200㎡以内の住宅(一戸建て)については緩和されます。竪穴区画の適用されません。また、全ての建物において、避難階からその直上階(又は直下階)のみに通じている吹抜けや階段についても、仕上げと下地を準不燃材料とした場合は、防火区画しなくてよいとされています。
異種用途区画
異種用途とは、例えば、集合住宅と飲食店など、用途が異なる建築物を言います。1つの建築物に複数の用途が存在する場合、利用する人や利用時間がそれぞれ異なってきますので、片方に火災が発生した場合に備えて、もう片方に火災が拡大しないように区画を行ないます。これを異種用途区画と言います。
防火区画を貫通する配管など
給水管などが防火区画の壁や床を貫通する場合、その配管と防火区画との間は、モルタルなどの不燃材料で埋める必要があります。また、換気や冷暖房などの風道(ダクト)が防火区画を貫通する場合は、原則として、自動的に閉鎖する特定防火設備(防火ダンパー)を設ける必要があります。