反力とは
梁は通常は両端で支えられています。その支える力を反力と言います。
反力の多くは下から上向きに力が働きますが、梁に作用する荷重の向きによっては、反力の向きも違ってきます。
体重60㎏の人が、梁の真ん中に乗った場合、左右それぞれ30㎏の力で支えていることになります。この力が反力です。 | |
この人が梁の右側へ移動すると、反力の大きさは左右で違ってきます。 この場合は右側の方が大きくなりそうですよね。 |
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梁にかかる荷重は、横からかかる場合や斜めの場合もあります。 この場合は、反力の方向は横向きにも発生することになります。 斜めの力は、横と縦に分解して考えます。 |
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梁には片側だけで支えるケースもあります。(片持ちばりと言います。) この場合は、下から支える力と回転させる力(モーメント)の2つの力に対して、反力が発生することになります。 |
反力の向きは、上下と左右、そして回転(モーメント)がある。
支点の種類
梁を支える部分(反力が発生する部分)、これを支点と言いますが、支点には3つの種類があります。ローラーとピンと固定です。どの支点がどの方向に対して反力を持つことができるのを覚えて下さい。
ローラー
イメージ | 反力の向き | 記号 |
上又は下 上下の力に対して、支えることができます。横に移動しますので、横向きの反力はありません。 |
ピン
イメージ | 反力の向き | 記号 |
上下と左右 ピンは動かないですが、 ピンを軸に回転します。 |
固定
イメージ | 反力の向き | 記号 |
上下左右そしてモーメント 上下左右に動きません。 また、回転に対しても抵抗することができます。 |
反力の数は、ローラーが1つ、ピンは2つ、固定は3つとなります。
力の分解
梁に対して斜めに力が作用する場合、計算上扱いが難しくなりますので、縦方向と横方向の力に分解して考えます。分解の方法は、斜めの力(矢印)を包含する長方形を作り、その長方形の縦の長さと横の長さを求めるようにします。
30°の傾きの |
1kNの縦の力と√3の横の力に分解する事ができます。 |
つまり、この2つはイコールということです。
= |
力のおきかえ
梁にかかる荷重は一点にかかる場合だけではありません。ある範囲に渡って連続してかかる場合もあります。これを分布荷重と言い、かかる荷重が均等の場合は特に等分布荷重といいます。
等分布荷重の場合
梁の長さ1mあたり3kNの力が、6mの梁全体に均等にかかっています。 | この場合、全体で18kNの力が、真ん中にかかっていると考えます。 3kN/m×6m=18kN |
等分布荷重でない場合
等分布荷重ではない分布荷重の場合 | 三角形の面積が荷重になります。 そして、大きくかかっている側(左図だと右側)から1/3の所に、その荷重がかかっていると考えます。 3kN/m×6m÷2=9kN |
反力の求め方
具体的に反力を求めてみましょう。
左のような梁に、斜めの力(2kN)と等分布荷重(3kN/m)がかかっています。 支点は、左側がピンで、右側がローラーです。反力の方向は、左のピンが上下と左右、右のローラーは上下のみとなります。 まずは、この2つの荷重のおきかえを行なってみます。 |
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斜めの荷重は、30°に作用していますので、1:2:√3の割合で分解します。 下向きに1kN、左向きに√3kN 等分布荷重に関しては、3kN/mの力が4mの範囲に渡って及んでいますので、12kNの力が中心に作用している集中荷重におきかえる事ができます。梁に作用している荷重の状態は左図のようになります。 |
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矢印だけ見てみましょう。力のつり合いを考えると、上下の矢印の合計と左右の矢印の合計はつり合うはずです。
ピン部分の横方向の反力は分解された斜めの力の横成分とつり合いますので、√3kNになります。 鉛直方向は? |
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ここでモーメントの登場です。 〇印が付いているローラーの点を基準にモーメント(力×距離)を計算します。 ※が付いている力は、〇印部分に作用していますので距離は0です。モーメントは0になりますので無視します。 -1kN×6m+XkN×4m-12kN×2m=0 〇印を基準に時計回りがプラスです。 Xは7.5kNになります。2つの反力の合計は13kNですので、※部分の鉛直反力は、5.5kNですね。 |
反力を求める時は、その梁に作用している力の状態を整理し、力のつり合いを考える。
反力の問題を解いてみる