トラスとは(トラスの決まり事)
トラスとは、部材の接合(節点)をピン接合とし、三角形に部材を組んでいく構造形式を言います。
トラスの問題を解く上では、次のことを前提にします。
外力(荷重や反力)は節点に作用する。
部材に生じる力は圧縮力か引張力のみ。
節点に作用する力(外力と部材の応力)は常につり合う。
圧縮材と引張り材
圧縮材は外から力がかかる(押される)材をいいます。内部からは反発する力が発生します。
引張り材は外から引っ張られる材をいいます。同じく、内部では引っ張られないように反対向きに力を発生させてつり合いを保つようにします。
つり合いを保つために、この2つの力は等しくなります。
節点法
節点法は、部材に生じている力(軸方向力といいます。基本的に圧縮か引張のどちらか。)の値を求める方法の1つで、先ほどお伝えしました、節点に作用する力はつり合う、この前提を利用して解く方法です。
例えば、青丸の節点部分に上向きの力(外力)が3kN作用しているとします。
この節点において力をつり合わせるためには、下向きに、同じ3kNの力が必要になります。 部材Bは横向きにしか働きませんので、斜めの部材Aで、下向き3kNの力を考えます。 |
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斜めの力は、縦と横に分解する事ができます。 角度は30°なので、1:2:√3 の割合です。部材Aの縦の力はつり合わせるために3kNにします。三角形の辺の長さの比から、部材Aの横向きの力は3√3kNとなります。 |
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部材Aそのものの力(斜め部分)は6kNですね。矢印は節点に向かう方向なので、圧縮材ということになります。 | |
今度は左右のつり合いを考えます。
部材Aは右から左に3√3kNの力で押していますので、今度は部材Bで、同じ3√3kNを右向きに作用させてあげます。 ちなみに、部材Bは、力が節点から離れる方向になりますので、引張り材です。 |
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部材Cと部材Dについても求めてみましょう。青丸部分の節点に作用する力のつり合いを考えます。
分かっているのは、部材Bが3√3kNで引張り材ということです。(節点から離れる向き) |
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Dに関しては、Bと同じように節点から離れる向き(右向き)にすればつり合いますね。同じ力で3√3kNです。
部材Cですが、この節点に作用する縦方向の力はこの部材Cのみですので、部材Cの力ありません。0kNということになります。 |
切断法
切断法は、応力(軸方向力)を求めたい部材を含む部分でトラスを2つに分け、その一方に作用する外力と切断された部材の応力がつり合う事によって応力を求める方法です。
上から2kNの荷重が3ヶ所の節点に作用しているトラスがあります。
反力は、合計の半分で3kNずつになります。このトラスにおいて赤い点線位置で切断した場合、この点線から左側の外力(2kNと3kN)と切断された部材A、B、C、この5つの軸方向力がつり合います。これを利用して解く方法が切断法です。 |
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縦方向のつり合いを考える
外力の2kNと3kN、そしてBの縦成分がつり合います。Bの縦成分は、下向きに1kNになります。 部材Bそのものの力は、√2kNです。 |
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横方向のつり合いを考える
AとC、そしてBの横成分(1kN)がつり合います。 ここで、モーメントのつり合いを考えます。 |
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モーメントのつり合いを考える
任意の点、例えば青丸を基準とし、モーメントを合計するとつり合います。つまり、0kNになります。 -2kN×2m+3kN×2m+A×2m=0kN 計算すると、Aは-1kNと求まります。-になったので、計算時に想定した向きとは反対で、矢印は左向きになります。節点に向かってますので、圧縮材ということになります。 |
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再び、横方向のつり合いを考える
Aが左向きに1kN、Bの横成分が右向きに1kN、したがって、Cは0kNにするとつり合います。 |
トラスの諸性質
青丸の節点に外力がなければ、AとBの部材の応力は0 |
節点に接合する部材が2本で、この節点に外力が作用しない場合、部材の応力は0になる。 |
青丸の節点に外力がなければ、AとBの応力は等しく、Cの応力は0になる |
節点に接合する部材が3本の場合で、そのうちの2本が直線をなし、なおかつ、外力が作用しない場合、直線上の2本の部材は応力が等しく、残りの部材の応力は0になる。 |