平面図をなるべく短時間で作図するには、作図手順(描いていく順番)を確立することが重要です。これは、どの順番で描くのが一番速いか、ということよりも、自分自身の中で順番が決まっていること、毎回同じ手順で作図ができることが大切です。
RC造平面図 作図手順
平面図の作図手順を説明しますが、必ずしもここで紹介する手順で作図を行なう必要はありません。ただ、初めての方は、この手順を参考にしていただき、練習を重ねていく中で、自分がやりやすいと思う描き方や短時間で作図できる手順が見つかれば、変更を加えていただければと思います。
柱を落とす
テンプレート(6ミリの四角)を使って柱を記入します。下書き線で記入してください。
この記事で紹介する動画では平面図の一部分しか作図していませんが、平面図全ての柱を記入します。そして、全ての柱の記入が終わったら、柱の位置が間違っていないかスケールで確認します。柱の位置が違っていると、描き直しをすることになります。
柱を記入したら、柱の位置が間違っていないか一度確認!
また、不要なところに柱を記入していないかもチェックします。
間取りを落とす
次は自分が作ったプラン(間取り)に基づき、壁の位置を落としていきます。線の種類は、原則、下書き線ですが、開口部がないところなどは、直接本描きしても構いません。
壁の厚みは、コンクリートの壁は200㎜(2ミリ)、帳壁は100㎜(1ミリ)程度にします。帳壁(ちょうへき)とは、建物内部に使用する壁で、木造や軽量鉄骨などの材料を使って作ります。全ての壁をコンクリートで作ると、重量が大きくなってしまいますし、コストや時間も余計にかかってしまいます。
開口部と壁の記入
開口部(窓や出入り口の扉など)の位置を記入します。開口部を先に記入すれば、壁の線を引くことができます。開口部がないところは壁になりますので、壁の線を直接引いていっても構いません。(練習を重ねると下書き線なしでも引くことができます。)
開口部の位置は、自分でルールを決めておくと、考える必要がなくなります。例えば、寝室の窓は壁の中央に、出入口扉は階段又は玄関に近い位置など。
包絡処理について
壁と壁(もしくは壁と柱)が合わさるとき、合わさったところの間の線をなくし、一体的な表現にすることを包絡処理といいます。上の図だと、右側が包絡処理した表現で、左側がしていない表現です。
RC造課題の図面では、この包絡処理を正しく行なうことが必要です。どのような場合に必要で、どのような場合が不要なのかをきちんと理解する必要があります。
RC壁とRCの柱 包絡処理する
帳壁と帳壁 包絡処理する
RC壁と帳壁 包絡処理しない(してはいけない)
壁(柱)と見え掛かり部分 包絡処理しない(してはいけない)
実際の図面を見てみましょう。
- RCの壁とRCの壁なので、包絡処理する
- RCの壁とRCの柱なので、包絡処理する
- 帳壁と帳壁なので、包絡処理する
- RC壁と帳壁なので、包絡処理しない
- 柱と見え掛かりの手すりなので、包絡処理しない
包絡処理してはいけないところを包絡してしまうと、構造を理解していないと思われる可能性があります。
什器(家具など)を記入する
壁の部分ができれば、家具などを記入していきます。これは、壁を描き終わってからでなくても、壁や開口部を描いている途中に記入しても構いません。
家具などの大きさはできるだけ測らないで作図するようにします。
例えば、冷蔵庫や洗濯機は6ミリ角のテンプレートを使ってください。また、机などは問題条件で指定がなければ自分で自由に決めてOKです。机にはいろんな大きさがありますので、極端におかしなサイズでなければ問題ありません。5ミリの方眼をうまく活用して大きさを取ってみてください。
作図動画と時間短縮のポイント
これまでの説明について、実際に作図をしている動画です。
この動画では時間を計測していますので、少し急ぎ気味に作図をしていますが、特に急いで手を動かす必要はありません。それよりも、手が止まらないことを意識するようにしてください。
壁の厚みは取らずに手に覚えさせる。
建具や家具の配置はルールを作る。
次に引く線をイメージする(できれば3~5本先以上)。
定規の移動は極力少なく。
縦線なら縦線、横線なら横線を続けて引く(なるべく)。
手戻り(描き直し)がないよう、確認しながら進める。
作図手順を確立させる。
練習をする時は時間を計測する。